日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する

シーメンスの今とこれから

世界有数のテクノロジー企業として、長きにわたり産業界の変革を牽引してきたシーメンスは、近年、大規模なグループ再編により、デジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューション企業へと進化しています。その背景や狙い、さらには日本市場における取り組みやビジョンについて、日本法人であるシーメンス株式会社の代表取締役社長兼CEOを務める堀田邦彦がメッセージをお送りします。

Interview 1

DXソリューション企業へと生まれ変わったシーメンス

01 DXソリューション企業へと生まれ変わったシーメンス

シーメンスは世界的なテクノロジー企業として、長きにわたる歴史を積み重ねてきました。まずは、その歴史を簡単に振り返っていただけますか。

シーメンスは1847年の創業以来、170年以上にわたって絶えることなく技術革新に取り組むことで、産業社会の発展に貢献してきました。電力による大量生産を可能にした第二次産業革命、ITによる自動化が進んだ第三次産業革命と、シーメンスの技術や製品は、産業社会に様々なイノベーションをもたらしました。そして近年の「Industry4.0」とも呼ばれる第四次産業革命においても、シーメンスの技術が「リアルとデジタルの融合」という新たな変革を牽引し、お客様の事業を革新的かつサステナブルなものにすることを支援しています。
02 DXソリューション企業へと生まれ変わったシーメンス

今や従業員30万人、年間の売上高600億ユーロ、日本円にして8兆円規模のグローバル企業となっているシーメンスですが、近年、大規模なグループ再編を実施されました。その狙いは何だったのでしょう。

グループ再編のキーワードが「脱コングロマリット」です。シーメンスは電気・通信からスタートし、エネルギー、モビリティ、ヘルスケアなど幅広い領域で事業を展開してきました。その総合力は大きな強みではありますが、環境変化の激しい現在、各市場のニーズに的確かつタイムリーに対応するためには、事業の焦点を絞り、より柔軟な組織で価値創造力を高める必要があります。そうした考えのもと、シーメンスはグローバルな事業再編を断行。産業社会の大きな課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)領域に注力することとしました。
03 DXソリューション企業へと生まれ変わったシーメンス

生まれ変わったシーメンスは、産業社会にどのようなソリューションを提供していくお考えでしょうか。

近年、産業社会において世界的なトレンドとなっているDXは、環境変化に柔軟に対応しながら、企業の生産性を向上させる大きな可能性を秘めています。先進的なテクノロジーの提供により、製造業をはじめとした企業のDX推進をトータルにサポートし、競争力の強化、ひいては産業界全体の価値創造力の強化に貢献することが、DXソリューション企業であるシーメンスの使命だと考えています。
Interview 2

明治以来の歴史を持つ日本市場で、新たな一歩を踏み出す

01 明治以来の歴史を持つ日本市場で、新たな一歩を踏み出す

グループ再編の動きは、日本市場にも波及していますが、そもそも日本におけるシーメンスの事業はどのように推移してきたのでしょう。

初めて日本にシーメンス製品が紹介されたのは幕末のこと。以来、明治から大正、昭和、平成、そして令和に至る130年余りの歴史の中で、シーメンスは日本の産業発展に幅広く貢献し続けてきました。その間、産業構造の変化やグループ戦略に合わせて、法人組織の在り方を柔軟に変化させてきました。近年のグローバルな脱コングロマリットの動きを受けて、日本でも組織再編を実施。日本法人である私たちシーメンス株式会社では、製造業など産業界向けのデジタル事業を主力としています。
02 明治以来の歴史を持つ日本市場で、新たな一歩を踏み出す

近年、日本でもDXへの取り組みが産業社会全体の大きな課題となっています。どのような意気込みで取り組まれているのでしょう。

日本企業のDXへの取り組み意欲は高く、社内に蓄積した多様なデジタルデータを、新たな価値創造に役立てたいというニーズが高まっています。しかし、2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」で「2025年の崖」と表現されたように、老朽化・サイロ化した「レガシーシステム」を抱え、せっかくのデータを活かしきれない企業も少なくありません。こうした課題ゆえにDXへの対応が容易に進まないことが、欧米と比べた生産効率の低さにつながり、日本産業界全体の国際競争力の低下を招きかねないと危惧しています。
03 明治以来の歴史を持つ日本市場で、新たな一歩を踏み出す

DX推進への課題を抱える日本企業に、シーメンスはどのようなソリューションを提供できるのでしょう。

積年の課題を企業が独力で打破するのは困難ですが、外部に依頼するにあたっても、「国内企業はデジタルの知見が乏しく、外資企業には技術力はあっても日本の企業文化への理解がない」との声が聞こえてきます。その点、長年、日本の産業界を支え続けてきた私たちであれば、日本企業のニーズに寄り添い、各社それぞれの課題を理解したうえで、最適なソリューションを提供できると自負しています。また、シーメンスのデジタルサポートはスケーラビリティ(拡張容易性)に優れているので、世界最先端のテクノロジーを、事業規模に応じて柔軟に導入いただけるのも強みです。  
Interview 3

リアルとデジタルの融合で、社会課題への最適なソリューションを導く

01 リアルとデジタルの融合で、社会課題への最適なソリューションを導く

グローバル、日本市場ともに、「デジタル」に軸足を置くシーメンスですが、その狙いはどこにあるのでしょう。

近年、気候変動や人口構成の変化などを背景に、産業社会を取り巻く課題はさらに複雑化、深刻化しています。シーメンスは、その解決のカギは「リアルとデジタルの融合」にあると考えています。リアル世界のデータを収集・統合してデジタル世界に再現する「デジタルツイン」という技術を活用し、製品開発から生産工程までの事業活動をデジタル上で検証・最適化することで、資源はもちろん、時間やコストも含めて飛躍的な効率化が図れるとともに、予知保全なども可能になるという考え方です。  
02 リアルとデジタルの融合で、社会課題への最適なソリューションを導く

「リアルとデジタルの融合」を実現する上で、どのような要素技術が必要でしょうか。

リアルの事業活動をデジタル世界で忠実かつ精密に再現するには、自動化、制御やネットワークの機器などハード面の技術が必要です。一方で、デジタルデータの解析、シミュレーションによって理想的な設計・生産プロセスを導くにはソフト面の技術も欠かせません。シーメンスは、世界トップシェアを誇るオートメーション機器をはじめとしたハード技術に加え、ソフト面でも過去10数年に100億ユーロに及ぶ事業投資によって先端技術を吸収。今やDXの実現に必要なハードとソフトをトータルに提供できる世界でも唯一の存在と自負しています。
03 リアルとデジタルの融合で、社会課題への最適なソリューションを導く

実際に企業のDX推進をサポートされた具体例なども教えてください。

シーメンスは製造業を中心に、多くの企業のDXを支援しています。例えば、世界屈指の自動車部品メーカーとして知られるデンソー様に対しては、モデルベース開発の技術基盤としてシーメンスのDXソリューションを導入いただき、開発期間の短縮やコスト削減、設計品質および競争力の向上に貢献しています。また、多様なモノづくりを展開する豊田自動織機様に対しては、アルミダイカスト製品の不良予測AIを世界に先駆けて開発し、品質および生産性の向上に寄与しています。
04 リアルとデジタルの融合で、社会課題への最適なソリューションを導く

DX領域における競争は今後、さらに激化していくと思われますが、その中でシーメンスが競争力を発揮するための戦略を教えてください。

DX領域で価値あるサービスを提供していくうえで、シーメンスの目指す方向性の1つに「クラウドへのシフト」があります。お客様が新たなサービスを導入するにあたっては、初期投資の大きさがネックとなりがちですが、クラウド環境によりSaaSとして提供することで、導入へのハードルを下げることができます。既にソフトウェア事業の多くでクラウド化が進んでおり、最近では産業用オートメーション技術「TIA(Totally Integrated Automation)ポータル」のクラウド提供を開始しています。企業の技術開発には競争領域と非競争領域がありますが、汎用性の高いクラウドサービスは、特に非競争領域において大きな武器となり得るため、今後も積極的にクラウド化を推進していきます。
Interview 4

「レジリエントでサステナブルな企業」として培った技術を社会に還元していく

01 「レジリエントでサステナブルな企業」として培った技術を社会に還元していく

シーメンスはテクノロジー企業として知られる一方で、脱炭素を進めるサステナブルな企業としても定評がありますが、どのような方針をお持ちでしょうか。

「Resilient and sustainable」はシーメンスにとって大きなテーマであり、持続可能な社会づくりに向けた多方面にわたる取り組みは、2021年11月にダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスにおいて第1位の評価を獲得。また、フォーブス誌による「ワールド・ベスト・エンプロイヤー2021」で15位に、同じく「世界で最も女性にやさしい企業」にもランクインするなど、社会から確かな評価を獲得しています。シーメンスは、まだ「サステナビリティ」という概念が浸透していなかった時代から、社員や自然に対する企業の責任を強調していました。その精神は「企業は利益の最大化のみを求めるのでなく、技術や製品、従業員の行動を含めたあらゆる企業活動において、社会に貢献するものでなくてはならない」という企業理念に受け継がれています。
02 「レジリエントでサステナブルな企業」として培った技術を社会に還元していく

具体的にはどのように取り組まれているのでしょうか。

自らの事業活動に伴う環境負荷の低減を図るとともに、その成果やノウハウを広く産業社会に展開することで、よりサステナブルな社会づくりに貢献していく考えです。脱炭素については、産業向けテクノロジー企業として、お客様やパートナー企業の脱炭素経営を支援する技術や取り組みも進めています。
Message

日本企業のDXを支援し、価値創造力を高めるパートナーでありたい

01 日本企業のDXを支援し、価値創造力を高めるパートナーでありたい

最後に、本記事の読者である日本企業の皆様に対するメッセージをお願いします。

かつては世界を席巻していた日本のモノづくりが、近年、自信を失いつつあるのは、私たちにとっても残念なことです。その大きな要因の1つが、「デジタル化への対応の遅れ」と指摘されています。逆に言えば、デジタルの価値や本質を正しく理解し、米国のGAFAや中国のBATHといった先端企業を凌駕するレベルに使いこなすことができれば、日本企業のポテンシャルを最大限に発揮させ、グローバル市場における存在感を再び高めていけるはずであり、シーメンスがそのお手伝いをできればとの想いを強くしています。モノづくり産業を中心とした日本企業のDXをサポートし、その価値創造力を高めることこそ、日本における私たちシーメンスの使命であり、存在意義にほかなりません。本記事が日本企業の皆さんとのコミュニケーションのきっかけとなることを、心から願っています。