SIMATIC WinCC RT Professional V16

SCADAシステムをTIAポータルの中に
WinCC Professionalを使用することで、SCADAシステムをTIAポータルに完璧に統合することができ、生産プロセスにおいて増加するデジタル化の要件に対して早い段階から適切に準備することが可能になります。あらゆる産業セクターのプロセス、生産フロー、機械、およびプラントの可視化やオペレーター制御を可能にするPCベースのオペレーター制御およびモニタリングシステムなど、シンプルなシングルユーザーステーションから分散型のマルチユーザーシステム、さらにはWebクライアントを使用したクロスロケーションソリューションを実現できます。
効率的なオペレーション管理
要求品質は高くなる一方であり、そこに製品変更の速さと頻繁な修正も加わって、製造プロセスはますます複雑化しています。その一方で可能な限り高い生産性を確保するために、企業のあらゆるレベルでプロセスの最適化について目標指向の迅速な決定を下さなければなりません。そのためには、すべての操作レベルと場所にわたって情報フローを統合することが必要です。
SIMATIC WinCC RT Professionalはプロセス最適化のための高い透明性と基盤を確立します。 情報をインテリジェントに利用することで、社内のプロセスを改善し、短期間での高い投資対効果をもたらします。その結果、コストを削減し、無駄を省き、製造設備の使用率を改善し、最終的には企業の効率性と費用対効果を確実に向上させます。
プロセス情報の履歴が、統合された高性能のSQLデータベース内にWinCCプロセス値アーカイブとして保存されます。
WinCCベーシックシステムでは500個のアーカイブタグのライセンスが標準で含まれています。また、アーカイブタグ数は追加のパワーパックによっていつでも増やすことができます。長期的なアーカイブ処理に向けてデータ容量を減らすために、データをさらに圧縮することもできます。その手段として、特定の期間(日、月、年などを調整可能)における最大値、最小値、または(加重)平均と、合計または差を計算して、圧縮アーカイブ内に保存します。
自動アーカイブ処理に加えて、アーカイブに対してこれらの値を手動で追加したり、適切な認証の後でアーカイブの設定値を変更することもできます。このような機能は、たとえば一部の産業では研究室用の値に対して不可欠です。トレーサビリティの目的で、これらの値には「手動変更済み」のマークが付けられ、このプロセスは操作メッセージとともに記録されます。
WinCCサーバー上のローカルアーカイブに加えて、SIMATIC Process Historianオプションを使用することによって、一元的な長期アーカイブ処理を追加導入することもできます。
自由に設定可能なWinCC Alarm Controlを経由してメッセージが画面上に表示されます。ここでは、メッセージ情報の表示をオペレーターの要件に合わせて詳細に変更することができます。行った設定はユーザー固有テンプレートまたはグローバルテンプレートに保存できます。
WinCC Alarm Controlでは、個別のメッセージブロックの内容に基づいて現在のメッセージまたはメッセージの履歴を表示するために、画面内で時系列、優先度、障害の発生箇所などでフィルタリング、選択、並べ替えを行うことができます。その内容を直接CSVファイルとしてエクスポートするか、レポートとして印刷することができます。また、自由に定義可能なツールバーファンクションにより最大限のフレキシビリティを確保できます。たとえば、プロジェクト固有のファンクションを統合できます。大量の受信メッセージがある中でも概要を把握し続けるために、アラーム非表示ファンクションを使用して重要でない動作メッセージを画面上に表示しないことが可能です。その場合、非表示のメッセージはバックグラウンドでアーカイブされます。
多数統合されている統計ファンクションを使用することで、プロセスの状態を包括的に分析できます。メッセージヒットリストには、特定のメッセージが未解決のままである期間の平均値と合計(メッセージ残存期間)が表示され、確認にかかる時間の平均値と合計も同様に表示されます。言うまでもなく、ここでもメッセージに対して関連イベント、メッセージの場所、時間間隔のフィルターを設定することができます。製造のクリティカルポイントとボトルネックの場所が即座に示されます。メッセージ画面内では、列見出し、必要な並べ替え基準(例:[Frequency, descending])を選択するだけでメッセージを並べ替えて評価することができます。
モジュールやデバイスのうち障害の発生したものや不正なものを即座に認知することが、ダウンタイムの長期化を避けるために不可欠です。そのためには、プラントの常時モニタリングが極めて重要です。TIAポータルは即座に使用できる診断メカニズムをサポートしています。診断設定を広範に追加する必要はありません。システム診断用のデバイスを起動すると、[Devices and Networks]エディター内で設定したプラントレイアウトに基づくアラームが生成されます。これらのアラームはHMIに表示できます。
SIMATIC ProDiagはマシンおよびプラントの診断用の完全統合TIAソリューションです。エンジニアリングフェーズでCPU内の診断をプログラミングする必要がなくなり、HMIでのトラブルシューティングもサポートされます。ProDiagにより、マシンまたはプラントのモニタリングと、障害発生時の介入が可能になります。
さまざまな障害に対して生成可能なモニタリングメッセージには、モニタリングモード、障害の発生箇所、障害の原因に関する具体的な情報が示されます。また、トラブルシューティングに関する情報を追加で提供できます。そのため、プラントのオペレーターは障害を認知できるだけでなく、潜在的な危険を事前に特定して適切な対策を講じることもできます。
シングルユーザーシステムからWebベースソリューションまで、あらゆるテクノロジ、あらゆる産業に対応
増え続ける要件に対応していくには、テクノロジの不適合を引き起こしたり、まったく新しい構成を必要としたりすることなく、可視化機能をいつでも拡張できる必要があります。投資の保護は最優先事項です。
SIMATIC WinCCは、小規模なシングルユーザーソリューションからクライアント/サーバーソリューション、Web上でのオペレーターステーションまでにわたり、必要な統合型の拡張容易性を提供します。最高の可用性とセキュリティを確保するための冗長化ソリューションも構築できます。
拡張容易な構成に加え、WinCCのオプションとアドオンによって顧客の状況に合った拡張機能を提供し、各テクノロジや産業に固有のソリューションを実現します。
規格の利用により統合が容易に
SIMATIC WinCCは、標準規格のテクノロジとソフトウェアツールを基盤としているため、常に高度なオープン性と高い統合能力を有しています。
最初のバージョンからオペレーティングシステム分野のトップ製品を採用しており、それにより一層投資を保護できるようになっています。WinCC RT Professionalを(TIAポータルで)使用することで、高性能のSQL Serverをベーシックシステム内に統合して活用できます。さらに、エンジニアリングの自動化とランタイムでのオートメーションおよびIT環境の統合のためのオープンインターフェースがサポートされます。
WinCCを使用すれば、標準ダイアログを使用するだけで、プログラミングなしでも接続や動的なシーケンスを実現できます。また、より複雑なファンクションを実現するために、いつでもVBまたはANSI-Cを使用してスクリプトを記述することが可能です。そのようなスクリプトの例として、値を変換するもの、レポートや個々のメッセージを自動的に起動するものが挙げられます。
VBスクリプトのプログラミングでは、デバッグがサポートされた使いやすい専有エディターを使用できます。
スクリプトを使用する際には、すべてのWinCCグラフィカルオブジェクトのプロパティや、WinCCのコントロール、オブジェクトモデル、他メーカーのアプリケーションにも完全にアクセスできます。
OPC(OLE for Process Control)を使用したクロスベンダー通信
OPCは、産業オートメーション環境内のアプリケーション間における安全で信頼できるデータ交換のための通信規格です。OPCには異なるクライアントとサーバー間のインターフェース、および異なるサーバーのみの間のインターフェースとして、メーカーから独立して使用される一連の仕様が規定されています。この仕様には特に、リアルタイムデータへの直接アクセス、メッセージとイベントのモニタリング、履歴データへのアクセスに関する情報が含まれています。
OPC規格は元々、Windowsオペレーティングシステムのみで利用可能でした。この規格はOLE(Object Linking and Embedding)がプロセス制御向けに発展したものです。2009年に導入された新しいOPC UA仕様では、極めて普遍的な接続について規定されています。この規格は、特定のテクノロジに依存しないセキュアでシンプルなプラットフォームに基づいており、そのプラットフォームはさまざまな企業レベルのあらゆる課題に対応できるほど拡張容易、拡大可能で、将来を見据えたものになっています。
SIMATIC WinCC RT Professionalが標準で提供している機能は次のとおりです。
- OPC UA (DE,HA) Server 1.02
OPC UA 1.02仕様の条件に従ったWinCCのプロセス値、アーカイブデータ、メッセージの送信。それに加えて、SIMATIC Process Historianへの接続用に個別にライセンス付与されたOPC UA Serverを利用可能。 - OPC DA Server
OPC XML DA 1.0-Server
WinCCとOfficeアプリケーション、ERP/PPSシステム(SAP/R3など)、またはB2Bポータルの間の、Web経由によるプラットフォームに依存しないデータ交換。 - OPC UA DA Client 1.02
OPC Unified-Architecture仕様に従ったプロセスデータへのアクセス。 - OPC DA Client
OPC XML DA 1.01-Client
サードパーティのPLCやシステムを統合する目的などで使用できる、プロセス値へのプラットフォームに依存しないWebベースのアクセス。 - OPC HDA 1.20-Server(Historical Data Access)
社内の専有レポートシステムにデータを共有する目的などで使用できる、WinCCの履歴データへのアクセス。 - OPC A&E 1.10-Server
WinCCプロセスアラームおよびイベントの転送 - WinCC OLE-DB Provider
プロセス値およびメッセージアーカイブに直接アクセスするための機能。WinCC OLE DBを使用して、データベースにアクセスするための個別のアプリケーションを開発することも可能。WinCC OLE DB-Providerとの通信のために、Visual Basic、VBScript、VB.NETなどを使用して開発したアプリケーション内でADO DB/ADO.NETを使用可能。
システム要件
ハードウェアシステム要件は、WinCCのインストールタイプと使用されるオペレーティングシステムによって異なります。
サポート対象のオペレーティングシステム
シーメンスは64ビット版オペレーティングシステムを推奨:
- Windows 10(64ビット版)
- Windows 10 Professional Version 1809/1903(OS Build 17763/18362)
- Windows 10 Enterprise Version 1809/1903 (OS Build 16299/17134)
- Windows 10 Enterprise LTSB 2015(OS Build 10240)
- Windows 10 Enterprise LTSB 2016(OS Build 14393)
- Windows 10 Enterprise LTSC 2019(OS Build 17763)
- Windows Server(64ビット版)
- Windows Server 2012 R2 x64 StdE (フルインストール)
- Windows Server 2016 Standard (フルインストール)
- Windows Server 2019 Standard(フルインストール)
WinCCクライアントにはWindows 7 Professional/Enterprise/Ultimate SP 1(32ビット版)を使用できます。
ハードウェア要件
- シングルユーザーシステム/クライアントの推奨ハードウェア
プロセッサー:Intel® Core™ i3 3.5 GHz*
RAM:8 GB
- マルチユーザーシステムサーバー/Webサーバーの推奨ハードウェア **
プロセッサー:Intel® Core™ i5 2.4 GHz*
RAM:8 GB - Webクライアントの推奨ハードウェア
プロセッサー:Intel® DualCore™
RAM:4 GB
* オプションと併用の場合はより高性能のシステムが必要になる可能性があります
** ワークステーション型のオペレーティングシステムを使用する場合、サーバーに接続できるクライアントは3台までです
Compatibility Tool
Compatibility ToolはIndustry Online Supportが提供するツールであり、互換性のあるソフトウェア製品の選択や既存の設定との互換性確認のために、このツールを使用できます。
SIMATIC Process Historian上に構築するCentral Archive Server
オペレーティングシステム:
Windows Server 2012 R2(64ビット版)
Windows Server 2016(64ビット版)
SIMATIC Information Server上に構築する一元的なアーカイブソリューションの推奨ハードウェア構成は、数量フレームワークに関する要件によって異なります。
詳細は、SIMATIC Process Historianの管理に関するシステムマニュアルを参照してください。
仮想化
以下の仮想化システムについてはテスト実施済みです
VMware vSphere Hypervisor (ESXi) 6.5
Microsoft HyperV Server 2016
あらゆる数量構造に対応する拡張容易性
SIMATIC WinCC Runtime Professionalは最大パワータグ数が指定されたベーシックソフトウェアパッケージとして提供されます。
パワータグとは、WinCC Runtime Professionalチャンネルを介してコントローラーやその他のデータソースに接続されるデータポイントです。
1つのデータポイントから最大32個のアラームを取得できます。さらに、システムパフォーマンス向上のため、結合されない内部タグを利用することができます。
ベーシックパッケージの拡張容易性を確保する目的で、タグ数を増やすためのパワーパックが提供されています。
ベーシックパッケージで利用可能なライセンスについて、以下の表に示します。
各ベーシックパッケージには、パワータグ数にかかわらず、無料のWebUX Monitor Clientと500個のアーカイブタグが付属しています。
以下の詳細情報について:
アップグレード
パワーパック
利用可能なバージョン
> Industry Mall で、ページ右上にあるフィルターを使用して参照してください。
アーカイブのライセンス
WinCC Runtime Professionalでは500個のアーカイブタグも利用できます。より大規模な数量構造に対応するために、アーカイブのライセンスを追加することができます。
Web MonitoringおよびOperateのライセンス
WinCC RT ProfessionalベーシックパッケージにはWebUX Monitoring Clientが無料で1つ付属しています。Monitoring ClientおよびOperate Clientの追加ライセンスは別途ご購入いただけます。
マルチユーザー構成のライセンス
必要な数のパワータグを備えたシステムソフトウェアに加えて「WinCC Server for Runtime Professional」のライセンスもサーバーにインストールする必要があります。また、各クライアントに「WinCC Client for Runtime Professional」ライセンスが必要です。
> WinCC Server/WinCC Clientオプションについて詳細を表示
その他の詳細
SIMATICソフトウェアは、すべてのオートメーションコンポーネントが最新レベルで統合されるように、継続的に開発されています。
ソフトウェアアップデートサービス、ライセンスの種類、オンラインソフトウェア配信、Automation License Managerを使用したライセンスの管理などについて情報をご確認ください。